Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

オレンジ色の悪魔と放課後デート?

「紗綾先輩、これから、デートしません?」

 紗綾が驚いて見れば圭斗は笑っている。
 冗談なのか、本気なのか、紗綾にはわからない。

「あのね、圭斗君……先に帰っていいよ?」
「何でっスか?」
「あんまりこういう機会ってないから、陸上部、見学して行こうと思って……」

 紗綾は断ることが苦手だ。
 それでも、先に帰っていいと言われた時からそれは決めていたことだった。
 今までも何度かそうしたいと思っていたのだが、どうにも機会がなかったのだ。

「じゃあ、俺もついていくっスよ」
「でも、折角早く帰れるのに……」

 見学はしたいが、圭斗を付き合わせるのは何となく悪いと思ってしまうのが、紗綾の心理であった。
 そして、そうなると結論が出せなくなる。

「俺がいると、嫌っスか?」

 紗綾は慌てて首を横に振った。

「ううん、圭斗君がいいなら」
「じゃあ、行きましょう」

 返答に満足したのか、圭斗は微笑む。
< 58 / 712 >

この作品をシェア

pagetop