魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
第3話

狭間から見える愛






やけに苛立った。彼女が己の知らないところで笑い、己の知らない時間を過ごした事が。今日は例の“可愛い後輩”と昼食をとり放課後は可愛い雑貨屋さんに行くのだと言っていた。


響はそこらへんにあったゴミ箱を蹴飛ばす。隣に凛が居ない帰り道なんて退屈以外の何ものでもない。今頃は“可愛い後輩”と楽しく過ごしてるのかと思うと、沸々と悋気が沸き上がる。


ダラダラと歩きながら、響はあることに気付く。





「やべ〜。間違った。」





いつもの癖で凛の家まで遣って来てしまった。


普段から凛を送ってから帰宅する響だが今日は凛が居ないので来ても意味がない。


響は舌打ちをして、来た道を引き返す。
< 35 / 317 >

この作品をシェア

pagetop