溢れる蜜に溶けて

夏が終わる


あれから数日。


夏休みの補習が始まりました。


遙くんに言われた古典のワークを渡す機会は得られずに、時間だけが過ぎていくけど、今日こそは…っ!



「うう」



と思って古典のワークを学校に持って行き、10分を利用して普段行くこともない遙くんの教室に行こうと踏み出したところに、数学の先生に提出物のノートを職員室まで持って言ってと運悪く頼まれてしまいました。


机の上に置きっぱなしになった古典のワークを早く遙くんのとことに持って行きましょう。


掌から手首にかけてクラス分のノートの重さが指先を麻痺させる。貴重な10分休みを逃さないように、早々を足を動かしてると、瞳の横に人影が映った。



「透ちゃん」

「朝比奈くん…(と、隣にいる人は誰なんでしょう??)」

「おっ、重たそうだから手伝うよ」



朝比奈くんともう一人、見たことのない男の子(きっと他のクラスで朝比奈くんの友達と思います)が私の前に立ってて。


返事を返す前に、朝比奈くんが私の指に絡まってたノートを半分持った。


いきなりごめんね、と朝比奈くんのお友達が一言申し訳なさそうに言う。
< 18 / 29 >

この作品をシェア

pagetop