東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》

ー椿side-

* * *


使用人たちがどんどんと屋敷から去り、里帰りしていた。


常に使用人たちによって綺麗に掃除されていた屋敷内に少しずつ埃がたまっていく。



「失礼します…椿様…」


居間で書物を読む私の元に秋が扉を叩いて、入って来た。



「…椿様…御堂中尉殿がお見えです…」


「…え、あ」



頼み事をしてから、10日ーーー・・・


仕事が忙しいのか中尉殿は全く屋敷に姿を見せなかった。



私の頼み事…キチンと調べてくれたかしら?


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