魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
第6話

差出人不明の包み







***





「ただいま〜。」





今日は色々あって疲れた。まさか真葵に逢うとは思わなかったなぁと凛は内心で呟く。


下校する頃にはクタクタになり、早く帰りたかった。家の中に入ると美味しそうな香りが鼻を掠める。





「あら。凛、お帰りなさい。」

「今日はカレー?」

「そうよ。もうすぐ出来るから待っててね。」





そう言うと鼻歌交じりに鍋を掻き混ぜる。呑気な母親を見て肩の荷が下りるのが分かった。


やっぱり家は一番安心する場だと凛は思う。最近可笑しな事が有りすぎて参っているのか、弱気になる。少しだけ、


凛は――――外の世界が怖い――――と思った。
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