東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》

ー椿side-

帝都デパートの最上階のパーラーの硝子越しで巡行の様子を観覧していた。



「帝様と后様を上から見下ろすなんて…考えると失礼ですよね」



「…征史様が椿様の安全を考えての事です。帝様と后様も許して下さいますよ」



「通さん…」


通さんは私の座る椅子の背後に立って警護に勤しむ。


私は小さな雪山のような白いアイスクリームを食べていた。


冷たい触感とほんのりと香るバニラの匂い。


冷たいアイスにあったかい珈琲は相性が合うのか思っていたけど。



意外に合う…



冷たくなった口内を温めるように湯気の立つ珈琲を啜った。








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