先生に会いたい

裏切り



その日の放課後。


先生と仲直りができた。


私は久々に嬉しい気持ちで、くるみと帰った。

くるみは『本当によかったね!』と言って、手をつないでくれた。


しばらくして、忘れ物に気付いた。



「ごめん!忘れ物しちゃった!先帰ってて!」



先生がいる場所に、また戻る。

私は笑顔で走った。


教室までの渡り廊下から、窓の外を眺める。

グラウンドで、また怒鳴っている先生。


大好きだよ。



すると、教室から声が聞こえた。



「桜ってさぁ、ムカつかない?」



愛梨の声がした。

心臓がドクンと体中を波打った。



「だよね!愛梨の気持ち知っときながら、城島と仲良くしすぎ!」


「あたし、桜が昼休みに毎回会いに行ってるの、先生のクラスの後輩から聞いてたよ!」



やめて。


もう聞きたくない。



逃げ出したいのに、体が凍ったように動かない。




「あいつも先生好きなのバレバレだし?マジムカつく!」




愛梨……


友達じゃなかったの?



宝物も、先生との時間も、あなたにあげたのに……。


私がしたことは、間違ってた?



重たい体を何とか動かして、非常階段へ向かった。



もう、笑顔になんかなれない。


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