○○彼氏。【完】
─拓真side─
「てめぇ、入学したての一年が調子のってんじゃねぇぞ」
睨みを効かせながらそういう男と、俺の周りを取り囲む奴らをチラリと見て、うーん、困った。と俺は思った。
こんな状況になったのは、ほんの数分前に遡る───。
「ねぇー、いいじゃん。ちょっと放課後俺らに付き合ってよ」
クラスのゴミを捨てに、たまたま来た体育館裏で不意にその声は聞こえた。
どうやら女の子が先輩方に捕まったようで。
あーあ、お気の毒に。
助けてあげたいけど、さすがに入学したてで問題ごとはなぁ。