我等オカ研特捜部

BAR井戸端

 来る日も来る日も、連日校舎裏の秘密基地に集まっては三人は話し込んでいた。

 最近付き合いが悪いと真奈美が愚痴っていたがしょうがない。
 
 これは三人にしか理解出来ない秘密の話題だった。

 真奈美には私がオカルト研究部に顔を出している事は秘密にしている。

 谷口と荒木の二人も自分達と絡んでいるのは回りに言って欲しく無いそうだ。

 何故なら私は結構な美人であり、事実結構ファンが多い。

 妬まれていじめられるのが怖いとの事なので私はそれを快諾した。
 
 どうやら谷口と荒木は当初、私が相談に来たのは上級生である私のグループのイタズラだと思っていたようだった。
 
 誤解は溶け、二人は私に打ち解け、気軽に話せる仲となっていた。
 
 私も冴えない二人に次第に慣れ、いつしか一番の仲良しになっていた。
 

 不思議だ。

 失礼だが普通は関わる事の無い人種なのに、一旦打ち解けると格好つけずにいられて気が楽だ。
 
 それに純粋な二人に安心感を感じていた。
 
 あれからも私達は何度か鬼社に足を運んだ。
 
 谷口の持っていった偉人伝数冊と荒木の持っていった週刊雑誌の代わりに色々な話を聞かせて貰えた。
 
 当時人間だった鬼の親子は京都の西の外れに追い出されたらしい。
 
 原因はアヤメの不倫だそうだ。

 不倫といっても無理矢理手込めにされたそうだが、あの美貌なら納得がいく。
 
 嫉妬のあまり夫には勘当され、不倫相手にも見放され、仕方なく怨みながら飢えを凌ぐ為に死肉を漁るうち鬼になったという。

 鬼になってからは徐々に理性を失い、人だろうが京中から溢れた悪霊だろうが捕らえては食べたそうだ。
 
 いつしか二人の名は知れ渡り、幾人かの名を上げようとする武者が来たが美味しく頂いたそうだ。
 
 しかし!とある高僧に負け、今の場所に封じられたという。

アヤメ
「一番酷いのは理性を取り戻させてから封じよってんあの糞坊主。
 
 まともな精神の持ち主が何百年と閉じ込められんにゃで?
 
 坊主許すまじ」

 ということらしい。
 
 僧曰く人心の温もりを理解させ改心させようとしたらしいが、その通りになったとアヤメは私達に再び感謝した。
 
アヤネ
「本当に感謝してる。

 私達に優しくしてくれる人間がもし、あの時いたら私達もこんなんにならなかったわ」
 
 と言っていた。

 それでも成仏出来ないのは犯した業によるものであろうとも語った。

 私がここを見つけたのはどうも京都と同じく二人の妖気が境内に溜まり続け、外に漏れたのを私が察したのだろうという。

 回りの人間には忘却のまじないがかかる為、私はアヤネの髪を携帯のストラップにした。
 
 それがあれば忘れないのだと言う。
 
 気味の悪い髪をストラップにしている私を真奈美は心配していたが、私は見る度に笑顔を漏らした。

小山
「ふふふ」

真奈美
「怖いんですけど」

 谷口と荒木に出会った頃は何か疲れていたが、何故か今は調子が良い。

 鬼の毛のせいだろうか?

 谷口と荒木は鬼のパンツが強い事を実証すると言い出している。
 
 流石は思春期ボーイズ、殺されると言ったが二人は研究の為だと言い張った。
 
 この二人、鬼よりも邪気を感じる。

 しかし二人はどうも元々はいていなかったらしい。

 谷口と荒木は恥ずかしそうにうつむいてしまった。

 男特有の現象を隠すのに少し猫背になっているのを女三人でからかっていた。

 そんな話しを蒸し返しながら基地で談笑を繰り返していた。

小山
「実は他にも気になる場所が…」
 
 唐突な私の言葉で谷口は荒木とのおふざけモードから真剣な態度になった。

荒木
「また妖怪が見れるかもしれんな」

小山
「でもそこは遠くて、一回だけしか行った事がなくって」

谷口
「確証が無いっと?」

小山
「鬼社も確証無かったけど、けどあそこよりなんか弱い感じ?」

荒木
「お前はほんとに我が部のエースだな、そのうちゼロの座を譲る事になるかもしれん」

谷口
「ふざけている場合では無い!
 
 欲しいのか?
 
 ゼロの座が…」

小山
「そんなもんイラン、アフガン、シリア」

荒木
「黙れ!出るぞ出るぞ」

谷口
「エースの一件で我々は鬼が実在したのを知った。

 今回も友好的な妖怪かは分からん。

 だがあえて言おう。

 俺に友達になれないオカルトは無い!」

小山
「変わってますやん」

荒木
「隊長が逃げる事を止めた」
 
 荒木は1人頷き感心していた。


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