Wonderful DaysⅠ

平穏崩壊





───ガッシャ───……ン……


『おいっ!起きろっ!!』


遠くで何かが壊れる音がして、誰かが私を呼んでいる……

気になるけれど、ピタリと張り付いた瞼は全く動かなくて。

そのまま微睡みの中にいると、次に聞こえてきた言葉に意識は完全に覚醒する。


『起きろって言ってんだろうがっ!このクソアマッッ!!!』


「誰がクソアマなのよっ!!!」


───バチンッ!


飛び起きて文句を言う私は、勢いよく目覚まし時計を止めた。

クスクスと耳に届いた笑い声に振り向くと


「やっと、起きたね」


私の様子を見ていたアル兄さんがスーツに身を包み、椅子の背凭れに頬杖を付いて座っていた。


「アル兄さん」


「おはよう、マリア」


朝から、にこりと眩しいくらいの笑顔を向けてくる。



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