セカンド・ウエディング~彼の愛は濡れる雨のごとく~
ACT10* 母の決意

~孝典SIDE~

俺は久し振りに自分のマンションに戻った。



真っ暗で寒々とした部屋。



『お帰りなさい』と出迎える相手などなく、自分で部屋の電気のスイッチを押す。



癒しなると杏に勧められ 購入した多肉植物が今もリビングボードに並んでいる。
俺は今まで、植物など部屋に置いたコトがなかった。

そんな俺が植物の世話をして、眺めては癒しになると思うなんて。



多分、目の前の植物を通して杏を見ていたんだと思う。




杏だから慌ただしいラッシュアワーの中。


痴漢から救ったんだと思う。



ずっと…お前と親密になる前から…


俺はお前を想っていたんだ。



俺の瞳から土砂降りの雨のように涙が流れ落ちる。
















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