Under The Darkness





 それからまるまる1週間、外とも連絡が取れず、お屋敷に缶詰状態のまま、日々が過ぎていった。

 人との接触も、お父さんと京介君、初老の女中さん、毎日来てくれるおじいさん医師の4人だけ。

 そして今日、おじいさん医師からやっと外出の許可が下りた。

 私はホッと胸をなで下ろした。

 大阪に帰れるからだけじゃない。

 安堵した他の理由。

 それは今日、生理が来たからだった。

 もちろん、そのことはおじいさん医師と看護師さんにもちゃんと話した。

 やっと、心からほっと息を吐くことができた。


 豪に襲われて。

 妊娠していたらどうしようと日々不安だった。

 恐怖だった。

 でも、生理がきていることに朝気付いて、思わず号泣してしまった。


 早朝だったこともあり、隣の部屋に居る京介君が駆けつけてきたときには、さすがに動揺してしまったけれど。

 どうしたのかと怖い顔で尋問されて、半ば脅かすようにして理由を聞かれた。

 そのあまりの恐ろしさに、彼はやはり極道の息子なのだと全身が凍りついてしまった。

 で、結局、誘導尋問に引っかかって白状させられたんだ。

 話を聞いて、私以上に安堵を見せた京介君に、『なんでそんなこと男なんかに言わなアカンねん』とめちゃくちゃ腹が立ったんだけど。
< 30 / 312 >

この作品をシェア

pagetop