魔法のキス
自立編

自立という名の逃避


3月。


今日は母がまた詳しい話を聞きたいというので、ショップを坂口さんに任せてマンションで待っていた。


というか、最近ほとんど坂口さんに任せて、私は仕事を探して面接を受けに行っていたのだけれど。


そしてとうとうある有名お菓子メーカーに採用されたのである。


銀座のデパ地下での接客販売だ。


そのことを母に報告したので、飛んでくるというわけ。


なかなか来ないので、先月のあの日に雄馬にあげるつもりだったバレンタインのチョコレートを食べながら待った。


< 293 / 344 >

この作品をシェア

pagetop