ラベンダーと星空の約束

 



 ◇◇◇



夏休みを間近に控えた日曜日、

体験したことのない蒸し暑さに、私は倒れそうになっていた。



柏寮の個室にクーラーなんて付いていない。

窓とドアを開け放ち扇風機を回してみたが、
生温い風が肌を撫でるだけで、ちっとも涼しくない。



上はキャミソール下はショートパンツ、
私にしては、かなり露出度の高い格好をしていても汗が噴き出す。



紫水晶の指輪を通したネックレスは、
軽装になると見えてしまうので、やむなく通学鞄にしまい込んだ。



東京の夏をなめていた。
まさかこんなに暑いなんて……



何とか暑さをしのごうと、首元に保冷剤を当ててみたり、
氷をガリガリかじってみたけど、一時しのぎにしかならず……



暑い…暑い…
あれ…?頭がボーッとしてきた……





 ◇


「……ちゃん、……りちゃん、ゆかりちゃん!
あっ目開いた!大丈夫?」



「…流星…暑い……」



「まだ暑い?
設定温度もう少し下げるか」




暑さで意識が吹っ飛んでいた私は、流星の声で目を開けた。



横になっている場所は、涼しい空間のベットの上。



ここ…流星の部屋だ。

私の部屋と比べ物にならないほど、涼しいのは何故?



起き上がり冷風が吹いてくる方向へ目を向けると、
窓に縦長のエアコンの様な機器が設置されていた。



「ああ、これね? 窓用エアコンだよ。
去年の夏きつかったから、今年から付けてみた」




なるほど。
エアコンって、壁に穴を開けなくても付けられる製品があるんだ。
知らなかった。



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