極上エリートの甘美な溺愛


タクシーで10分ほどで着いた「リブロ」というスペイン料理のお店は、将平の両親の知り合いが開いている人気店だ。

以前雑誌で紹介されて以来、予約が取れないお店だと言われ、それほど食に興味がない玲華でもその名を知っているほどの有名な店。

「こんなに有名なお店で二次会ができるなんて、贅沢だね。全員が招待状の出席欄にマルを付けて返してくるね」

駐車場で車をおりた玲華が笑顔でそう呟くと、将平も嬉しそうに頷いた。

将平にとっては小さな頃から両親に連れてこられた馴染みの店。

将平の両親も和食の店を開いていることから縁があり、「リブロ」のオーナーは将平を自分の息子のように可愛がっている。

そのせいか、予約でいっぱいの中でも無理をきいてもらい、二次会をここでできることになったのだ。

「味は評判どおり絶品だから。なんでも食べたいものを注文したらいい」

「うん、今はお腹がすきすぎてなんでもおいしく感じそう。あ、そんなこと言ったら失礼かな」

明るく呟く玲華の様子を見ながら、将平も小さく笑った。

既に夜も遅い時刻。

とはいえ人気店という評判どおり満席で、明るい店内には心地いいざわめきが漂っている。

案内された席に腰を下ろしメニューを手にしながらも、玲華は興味深げに周囲を見回している。

特に食にうるさくもなく、なんでもおいしく食べる彼女にとっても、誰もが知るほどの有名店に興奮しているようだ。


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