翼~開け放たれたドア~

誰よりも優しく

「……あれ?」

ふと周りを見てみると──

「……直たち…」

「あぁ。飛鳥と雷さんが騒ぐからって、直と龍也さんが全員先に外に連れ出した」

「……なるほど」

妙にそれに納得してしまう私もどうかとは思ったけど、…まぁあの2人だしね。

そう考えて気にしないことにした。

……なんか、その光景が浮かんできてしまうのは、もうどうしようもないと思うけど。

「じゃあ俺らもでるか!なぁ、春輝」

「ん」

海お兄ちゃんにコクリと頷く。

「ありゃありゃ。なんか無口に戻っちゃった」

ま、かわいいんだけどな。それも。

そう海お兄ちゃんは付け足すと、行くぞー!と歩き出す。

数歩歩いてから、海お兄ちゃんは振り向く。

「ほらほら!兄貴も行くぞ!」

「…は?」

啓悟お兄ちゃんは、不意をつかれたように目を丸くする。

「海。お前それ本気か?
俺はお前らに散々ひでえことしたんだぞ?」

「あったりまえだろ?んなもん今更今更!
あんときだってホントは兄貴連れて行きたかったのにさ、兄貴が行かねえなんて言うからアレだったけどよ。
──今度は……ちげえだろ?」

試すようなその口調に、啓悟お兄ちゃんはますます目を見開く。
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