エターナル・フロンティア~前編~

第四話 求める者


 毎年のように訪れる、ソラにとって無意味に等しいイベント。女にとって嬉しい内容であったが、男のソラにとっては迷惑に近いものがあった。要するに金が掛かってしまい、何かにつけて「物を買って」と、せがむ女達。ソラにしてみれば、理解しがたいことであった。

 所詮、男はそれだけの存在。

 そのように思ってしまうのが正直な感想であったが、ソラとイリアの関係はある意味で微妙な位置にある。それに「旅行についてきて」というのもアカデミーの卒業に関わるので、複雑だった。

 これもイベントと言えばイベントに当て嵌まるが、一部の人間に関係するイベント。それは大勢の人間が楽しむものではなく、一個人が楽しみ喜びを得られるものであった。イリアはアカデミーを卒業できれば、大きなモノが得られる。一方、ソラは何が得られるのか――

 結局のところ、何も得ることができない。

 今、彼女は図書室で卒論を書いているだろう。

 流れる景色を眺めつつ、ソラは幼馴染の行動を予想する。それは意外にも正解だった。彼女はクラスメイト達と図書室で卒論を書き、完成に近付けていた。「旅行に行く」それは無用の行動だろう。イリアは旅行に行きたいと言うに違いないが、相手は幼馴染なので遠慮はない。

 カディオが運転する横で、ソラは無表情であった。イリアに会うことは別に嫌ではないが、だからといって乗り気ではない。ソラの心の中は知らないが、表情で何となく話し掛けてはいけないという雰囲気を感じ取ったカディオは何も言えず、結果として長い沈黙が続く。

「カディオ、女って生き物は……」

 ふと、何気なくソラが口を開く。そして発せられた言葉は、イリアに対しての愚痴のようなものであった。何か不満に近いものを相手に抱いているのか、その言葉の端々には刺が含まれていた。その内容にカディオは苦笑いを浮かべつつ、頷きながら彼の言葉を聞いていく。

「どうしてこう、物を欲しがるのか」

 その言葉に続き、溜息がつかれる。そんなソラを一瞥すると、イリアという女性を思い出す。彼女は、外見は普通の女の子。尚且つ何処にでもいそうなタイプで、どちらかというと大人しく口数は少ない。

 もしソラの幼馴染ではなかったら、カディオは告白していただろう。そう思えるほど、ソラには勿体無い。しかしそれは初対面での印象で感じていることであって、深く付き合っていないので内面まではわからない。もしかしたら、ソラが言っていることが正しい場合もある。
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