私は男を見る目がないらしい。

*小さな勘違いからの嫉妬 「俺というものがいながら……」

 

** 

土曜日。

前日の朔太郎の言葉通り遅くまで寝させてもらえなかった私は、昼過ぎまで朔太郎と二人、ベッドの上でうにゃうにゃしていたんだけど、冷蔵庫の中に何もないことを思い出し、買い物に行くことにした。

……もちろん、朔太郎も一緒に。

こういうの夫婦みたいだなぁ……なんてニヤけそうになったのは、一生の秘密だ。


部屋の鍵を閉め、先にエレベータのところに行っている朔太郎の元に向かう。


「柚丸マーケットって言ったっけ?近くのスーパーってそんな名前だったっけ?」

「ううん。駅前のところじゃなくて、少し歩いたところにあるお店なの。私そっちのお店の方が好きでよく行くんだよね。その店にあるパン屋さんのケーキがすっごくおいしいの!朔太郎も絶対好きだと思う」

「マジ?俺、甘いもの何でも好き!」


到着したエレベータに乗り込みながら“甘いもの”にはしゃぐ朔太郎にクスッと笑ってしまう。

かわいい。


「前、デートでデザートバイキング行った時、すっごい食べてたもんね~。その量に超引いたけどね!」

「あ、覚えてる。美桜、気持ち悪そうな顔してたよな」

「あれは誰でも引くって!」

「そうか?んー」


「いや、でも、甘いもの好きならあれくらい普通だろ?」と言いながら、朔太郎が1階に到着してドアが開いたエレベータを降りていく。

私も続いて降りると。

 
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