私は男を見る目がないらしい。

*消去されたもの 「……嫌。そこに置いときたいんだよ」

 



理子さんと11時過ぎまで楽しく食べて飲んでおしゃべりして、家に帰りついたのはもうすぐ日付が変わるという時間だった。

美味しいものもたくさん食べられて、私は大満足だった。

程よく飲んだお酒の力もあって気分がいいまま、部屋の鍵を開ける。

そして扉を開けた私の目に入ってきたのは……


「ただいま~……って、あれ?」


真っ暗な部屋だった。

まだこんな時間でいつもなら朔太郎は起きてるはずだし、出掛けるとも言ってなかったのに……何で電気がついてないんだろう?

もしかして、うたたねしちゃってるのかな?

私は首を捻りつつ、部屋の電気を着けた。


「……朔太郎?」


朔太郎の名前を呼ぶけど、返事はない。

そこには人の気配もなくて、朔太郎の姿は見えなかった。

もしかして寝室だろうかと見てみたけど……いない。

お風呂場も、トイレも……どこにもいない。

 
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