Wonderful DaysⅡ

once againⅡ






(side:アルバート)


「…………ねぇ、兄さん」


屋敷の書斎で、パソコンを操作している兄さんに声を掛けてみれば


「───何だ」


いつもと同じような返事が返ってくる。

……いや。いつもよりは、苛立ちを含んだ声か。


「魁とマリアは、クリブデンに着いたみたいだよ」


様子を伺うように告げると


「知っている」


既に、二人の現在地を把握しているらしい兄さん。

まぁ、当然といえば当然か。


「何だ。知ってたんだ?」


この兄さんが、魁とマリアを二人きりにさせるわけがない。

きっと、アーロンあたりを向かわせているに違いないと思っていたのだが……


「マリアのGPSで確認済みだ」


「え? GPS?」


俺の予測に反して、兄さんの口からは違う答えが返ってきた。

じゃあ、本当に二人きり!?


「何だ。何か、言いたそうな顔だな?」


ずっと、パソコンの画面を見ていた兄さんが、ちらりと視線を向けてくる。


「え……だって……」


その視線にびくりと肩を揺らしながら、しどろもどろになっていると


「……魁との賭けに負けたんだから、仕方がないだろう」


先ほどの賭けに負けたことを思い出しているのか、兄さんの眉間には深い皺が刻まれる。


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