エンビィ 【完】

―――白のドレス―――





「わあー!玲奈さん、髪色明るくなさったのね」



気分転換に染めた髪は、ピンクベージュ。



「来月、わたしのパパがガーデニングパーティを開くの。小規模なんですけど、ぜひ来て下さいね」



週を空けずに頻繁に行われるパーティに、ほぼ参加している。




伊織とホテルで会ってから3ヶ月。


その間一度も、公の場でも、伊織もそしてユキノとも、会っていない。

それなのにあたしの化粧台には、布の入ったビンが、一つまた一つ増えていく。




「玲奈」



豪華にコーティングされた爪に少しの綻びもないかチェックしていれば、机に両手をついてあたしを覗き込んでくるのは、クラスメイトの男。


百瀬にお灸を据えられたことが効いたのか、あたしはこの男を退学にしなかった。


自分でも…ビックリ。

百瀬の言葉に、あたしの行動を制限する力があったなんて…。






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