キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
1.ネコが繋いでくれたもの

~ふたつの出逢い

 
***


「ん……」


カーテンの隙間から朝のあたたかな日差しが私を照らす。

外ではぴちぴちと元気よくさえずっている鳥の声。

その心地よさに私は眠い目をこすり、もう少しだけ、と再び目を閉じてまどろむ。

今日は仕事が休み。目覚ましもかけずに自然に目を覚ますことができる日はすごく快適だ。

私は、平日は8時~17時、土曜日は隔週で8時~14時、という勤務時間で、地元の人たちに親しまれている“ユズノ薬局”で調剤薬局事務の仕事をしている。

残業免除のためにお給料は低めだしボーナスもそんなに出ないとは言え、これで正社員として雇ってもらえているんだから、条件はすごくいい。

そして、今日はちょうど休みの土曜日だ。

今年28歳になる私は、3年ほど前から今のような生活を始めるようになっていた。

以前まではSE(システムエンジニア)をしていたんだけど、3年経ってもなかなかやりがいを見出すことができなかった上、波はあるものの過酷な残業に耐えられなくなって、今の仕事に転職した。

かなり条件の落ちる仕事への転職だったのもあって、当時は特に親には何だかんだ言われていたけど、今となっては“とある理由”もあって正解だったと思っている。

そろそろ起きようかなと、伸びをしながらごろりと寝返りを打つと。


「わ。コタロウ、いたの?」


振り向いたすぐ目の前にいたのは、毎日一緒に生活を送っている愛猫のコタロウ。

私が今の生活に満足している“とある理由”だ。

 
< 1 / 257 >

この作品をシェア

pagetop