幸せの花が咲く町で

にぎやかな夕食





(良い天気だ……)



今日はほぼいつもと同じような状態で、目が覚めた。
もちろん、小太郎をお見送りすることも出来たけど、篠宮さんが朝は来てくれるとのことだったから、今日までは篠宮さんに任せることにして、僕はいつもよりゆっくりと起きた。
時計を見ると、なっちゃんが出かける時刻も過ぎていた。



下にはやはりもう誰もいなかった。
僕は、コンロに置かれた鍋をのぞいた。
卵入りのおじやだ。
僕は、それを温める。


台所も綺麗にしてあった。
なっちゃんの朝ごはんを作ってから、片付けもしてくれたんだ。
短い時間の中で大変だったろうに……篠宮さんはとても几帳面な人だと思った。
きっと、篠宮さんの家はこんな風に綺麗に片づけてあるんだろうな。
料理もうまいし、彼女は仕事と家事の両立が出来る器用な人なんだろう。



小さな鍋にあったおじやは、あっという間に全部なくなった。
食欲が回復してることに、なんだか少し嬉しくなった。



(……さて、と……)



僕は身体慣らしに、まずはなっちゃんの部屋の布団をベランダに運んだ。
部屋はまた散らかってる……一日でも放っておくとすぐこれだ。
本当になっちゃんは片付けが苦手なんだから……
苦笑しながら、部屋を簡単に片付け、それから、いつもと同じコースで掃除に取り掛かる。
おかしなもので、ほんの数日家事をしなかっただけで、いろんなことが気にかかった。
早く掃除をしたいとか、洗濯をしたいとか、今度は何を作ろうとか……
いつの間にか、すっかり家事が自分の生活の一部になってしまってることが、どこかおかしく感じられた。

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