恋物語。
幸せの時
―婚姻届を出してから約半年。
もう秋の気配がするのに日中は、まだ暑かったりする今日この頃。
私は白いドレスに身を包み…控え室で“その時”が来るのを待っていた。
コンコンコンッ
「はい…」
そんな時に聞こえたノックの音。
それに答えるように返事をした。
“誰だろう…?”そう思ったのも束の間―、
ガチャ…ッ
「っっ…」
「…知沙。」
“愛しいあの人”が…白いタキシードをバッチリと着こなし部屋へと入ってきた。
幸い、この部屋には私一人。係の女性の方は、ついさっき出て行ってしまった所。
「さ…聡さん…っ」
私は思わず立ち上がった。
「知沙…綺麗だよ。すっごく。」
「//…」
ストレートに言われたその言葉。
それは私の体温を容易に上げる。
「聡さん、も…かっこいい…」
「ありがとう。てか…これじゃあ知沙のファン増えちゃうなぁ…」
「へ…?」
目の前に立つ彼は困ったような顔で不思議なことを言う。
私には何のことだかさっぱり分からず首を傾げた。
ふぁ…ファン…?てかそれより…ファンなんているわけないよ…。
「だって今日…眼鏡ないじゃん。“素顔”の知沙を知らない人…いたりするでしょ?」