美狐はベッドの上で愛をささやく

*・゚★。・*運命の糸。*




 . ゜
。 。
 。





望んでいても、いなくても。

朝は必ずやって来る。




わたしは父に買い与えてもらった勉強机と向かい合って、白くなっていく空をボーッと眺めていた。



……眠ってはいけない。

わたしが眠れば、『彼ら』は意識を無くしたわたしの体を乗っ取り、魂を汚そうと誰かを傷つける。





――また、こうやって一睡もしない時間を過ごさなくちゃいけない日が来るなんて……。



わたしが、甘かった。


父に甘えていた。


倉橋(クラハシ)さんに相談した時、もう大丈夫だと安心してしまった。

霊体がわたしを襲わなくなったことに何の疑問ももたなかった。



わたしは……自分の運命から逃げたんだ。



その結果、父の命を削らせ、


彼は亡くなった。


わたしが父を殺したんだ……。



父がこの世を去って、どれくらい経ったのっただろう。


昨夜あった、通夜からこの家に戻ってきてからの記憶は、ほとんど無い。


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