絶対王子は、ご機嫌ななめ

  最悪な再会


翌日は出勤時間の三十分前にクラブハウスに到着すると、ロッカールームで着替えを済ませ事務所へ向かう。

「おはようございます」

円歌ちゃんを見つけると、そばへと足を進めた。

「柚子、おはよう。昨日は疲れたでしょ? ちゃんと眠れた?」

「うん、ぐっすり」

「そう、それは良かった。じゃあ早速、フロントに行こうか」

「はい」

私が働くここ【つつじヶ丘ゴルフ倶楽部】は朝の六時半から早朝営業もやっていて、その時間は男性従業員がフロントに立っている。八時過ぎに引き継ぎをし、八時半からの通常営業に備えるのが私の仕事の始まりだ。

今日はフロント業務一日目。円歌ちゃんと一緒に立つことになっている。

少しスカート丈が短い制服はまだ違和感ありだけどデザインの可愛らしさは気に入っていて、緊張にほんの少しのワクワク感をプラスさせてくれていた。

「柚子、引き継ぎが終わったらカウンターまわりの掃除するからね」

でも円歌ちゃんは私にそう言うと、何かあったのかピタッと足を止めてしまう。

「円歌ちゃん、どうかしたの?」

円歌ちゃんの背中にくっつきそこからひょこっと顔を出すと、クラブハウス入り口の自動ドアから男性が入ってきたのが目に入った。



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