地球を守って!恋するヒーロー

ただひとつの希望

「うん、......うん、平気。
大丈夫だから、心配しないで。
元気になって帰ってくるから」



十二月になり、年間を通して日差しがきついとはいっても、ここケニアもさすがに寒くなってきた。
 
早いもので月に行くまで、残り三ヶ月。


ここにもだいぶ馴染んできた今日このごろ、
研究所に備えつけられている電話で、週一の約束になっている両親への国際電話をかけてから、宿舎へと戻る。


一応私はケニアで偶然にも、原因不明のウイルス性の病気を専門に研究している医師に知り合い、治療に専念している......ということになっていた。

御堂先生がお父さんお母さんに上手く説明してくれたらしい。


騙していることになるので、罪悪感はあるけど本当のことを言うわけにもいかないし仕方ないよね。


治療方法が見つかったと聞いて、泣いていたというお母さん。

やっぱり心配、かけてるよね。


ケニアに行く前に最後に見た、心配そうな泣きそうな顔をした、けれど一言も止めなかったお母さんたちを思い出すと胸が痛い。

無事に地球に帰ってきて、また家に戻れるといいな。
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