絶対王子は、ご機嫌ななめ
第二章

  もっと知りたくて…


「ジャム、お茶」

「はいはい。ちょっとお待ちくださいね」

入社して一ヶ月が経ったというのに、私は相変わらず政宗さんの世話でてんやわんや。これでフロントの仕事もこなしているのだから、私の休み時間はなしに等しい。

どうして、こんなことになっているの?

入社してすぐ政宗さんのことを好きになったのに気づき、でも円歌ちゃんとの関係を疑った私はその恋を諦めることにした。

仕事が忙しければ政宗さんからの呼び出しも減るだろうと、そうしたら彼のことを好きな気持ちも忘れられると思っていたのに。

私が甘かった……。

政宗さんは私がどんなに忙しかろうと、何処吹く風。そんなのお構いなしに、なんやかんやと用事を言いつけてくる。

円歌ちゃんも円歌ちゃんだ。一言『橘は忙しいから』と断ってくれればいいものを、二つ返事で引き受けてOKを出してしまうんだから。政宗さんも調子に乗って、次から次へと勝手なことを言ってくる。

仕事が終わった後だって、何かと付き合わされていた。
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