私は異世界の魔法使い?!

・迷宮の森



さらさらとした足元の砂が、ローヒールを沈める。

来た時と同じで裸足で歩く方がいいんじゃないかと思い、ヒールを脱ぎ捨てようかと思ったけど辞めた。

ここから砂漠を横断するわけでは無いからだ。


「それで、森まで行くにはどうすればいいの?」


声に出して杖に呼びかける。

すると杖もすぐ反応を示し、脳が震える。


『瞬間的移動を求めるのなら……目的地を知っている必要がある……』

(えっ……私、場所知らないよ)

『男がその場所を知っているというのなら……目を閉じ……男の手を取り……男と一緒に我を持ち……汝は願え……さすればそれに答えよう』


そんなんでいいの?

なんだもっと手順があるのかと思ってた。

イフリート呼び出す時もそうだけど、基本的に魔法を使いたければ杖に向かって願えばいいんだね。


私は杖に言われた通りカイトの手を取り、一緒に杖も握り、願った。


(私達を迷宮の森へ連れてって)

『……承知した』


杖が答えた瞬間だった。

それはエレベーターに乗っている時の感覚に近い。

足の下には地面の存在は感じるのに、下へ下へと落ちてゆく感覚。



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