生徒だけど寮母やります!⁑

結斗に守られます!



「きゃん」


私を抱いた結斗は、人のいない小さな資料室に入った


周りをみて誰もいないことを確認してから、私をそっと床におろす


「怖かったね、もう大丈夫」



そう、撫でながら優しく声を掛けてくれる結斗


「わん」
......人間に戻るわん......


ぽんっっ!!!



私は結斗の前で人間に戻った


「ありがとう、結斗。......っ、ごめんなさい......」


「寮では皆の面倒をみてくれてるけど、学校では景ちゃんから目が離せなくなりそうなんだけど」


結斗はからからと笑いながら言う

「う......」


痛いところをつかれてしまった


「でも、助けることができてよかった」


結斗は心底安心したように言った


「たまたま......あの現場に居合わせたの?」


「あー、まぁ、それはそうなんだけど......」


「けど......?」


苦笑いする結斗を覗き込む


すると、結斗は目の前に膝をついた


「ひゃ」


結斗の少し冷たい手が、私の太腿に添えられる



「......え......」


結斗の手が添えられた部分の近くを見ると、傷があり、血が垂れていた



........蹴られた時に!!


ワーウルフ(人狼)の時につけられた傷やその痛みは、人間の体に戻っても消えるわけではない


そして............



結斗はゆっくりと、傷口にキスをした


「............!」


最初はキスだった


しばらくして、血が舐められているのがわかった


彼は、ヴァンパイアだ



「ぁ......結斗......」


少し痛い


しばらくして、結斗は私の太腿から手を離した


「ごちそうさま」

「ぅ......」


結斗はいたずらに微笑むと
胸ポケットから取り出したハンカチを、私の太腿の傷口を覆うように結んだ

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