我妻はかごの中の鳥

距離。

◇◇◇


起きると、無人だった。



「…は?」


なぜか俺はベッドに寝ていて、辺りは薄暗くなっていて。

いつのまにか寝ていたらしい。


問題はそこではなく、瑠璃がベッドにいないということ。


急いで起き上がり、瑠璃の捜索を開始。

なんなく見つかったけど変なところにいた。


テレビの前におかれたソファに、猫みたいに丸まって眠っていた。


毛布にはくるまっているものの、ベッドよりも寒いソファに。


「る、瑠璃…!」


額に掌をかざすと、先程より上がっていた。

とたんにビビる。


「なんで…」

なんで瑠璃はベッドに入らなかったんだ。

俺がいるから?

いや、ダブルだし狭くはない。


瑠璃の首の後ろと太股の辺りに手をやり、勢いよく持ち上げる。


お姫様だっこってやつに、さすがの瑠璃もうっすらと目をさました。


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