むとうさん

親友

12月も後半に差し掛かった。赤い電車で通勤と反対方向へ向かえば私の地元にすぐ着いてしまう。

ついこの前ハロウィンで渋谷が大混雑、なんて話題があったのが街はあっという間にクリスマスの電飾で輝く。

冬物のアンゴラのコートを着て、こっそり有給をとって、長めの冬休み。今年は工場停止が早かったのと土日がうまい具合噛み合ってかなり長い休みがとれた。

お盆ぶりに地元に戻る。昼下がりの京浜急行は席も空いている。

どんつき(突き当たりという意味だと思う)の〜なんて歌詞にあるように、行き止まりは海のわが地元は半島だ。

福富町も好きだけど、地元も好き。今晩は高校時代の友人たちと飲み会だ。

我が家は変わらない。相変わらず私が社会人になるまで過ごした長屋に父と母と、母方の祖母が暮らす。

変わったのは、中に暮らす肉親が、少し弱くなったことくらいだ。

弱くなったという表現は正しくないかもしれないけど。

同級生の父親と比べると、私の父は子どもからみて豪快な印象だった。
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