白い月~夜明け前のその空に~

繋げない手…




―――。.*゜――。.*゜―――


ある日曜日。


相園一家と優月は水族館へ出かけた。



陸のバイト先の社員からもらった優待券で。


みんなで揃って出かけるのも、この日が初めてでもあった。




誕生日も近い、瞬の水族館デビュー。

初めて見る海の生き物に、物怖じ一つせず、瞬は大はしゃぎだった。


イワシの大群や熱帯魚など様々な生き物を見てきたが、クラゲはよほど気に入ったのか、なかなか次のコーナーに移ろうとしなかった。



「瞬ちゃーん、あっちにね、ペンギンさんいるんだって。かわいいよー、見に行こうよ」


「ううー」


クラゲから興味を逸らせようと優月が試みるも、首をふるふる振って拒むだけだった。


水槽にぺたりと手をついて、ゆらゆら不規則に浮遊するクラゲ達を、瞬はじっと眺め続ける。
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