口の悪い、彼は。

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「高橋」

「はっ、はい!?」

「ちょっと来い」

「はい……」


あと1日と少し頑張れば休みという木曜日の午後、部長に呼び出された。

待って、待って、待って。

私、また何かミスしちゃった!?

週明け早々に怒られてしまったこともあって、私は緩んでいたらしい気をしっかりと引き締めて仕事をしていた。

ミスはしていない自信があったのに、また変なところが抜けてしまっていたりしたのだろうか。

部長の前に立つと、目線を上げた部長と目が合って、ついドキッとしてしまった。


「悪いけど、頼みがある」

「え?」

「15時にテトラ産業の人間が来るんだが、喜多村が今行ってる取引先の都合で30分ほど遅れるみたいなんだ。少しの間、対応を頼んでもいいか?」

「わ、私がですか?」


『他に誰がいるんだ』と言われるのを覚悟して、私は部長に聞き返した。

私はしがない営業事務で、取引先の人と接したことなんてこれまでに一度もないのに、簡単に「わかりました」なんて頷くことはできるわけがない。

しかも、相手はあのテトラ産業なのだ。

もし変な対応をしてしまえば、喜多村さんがやっと取ってきた契約がどうなるかもわからないんだから。

 
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