暴走族に愛された不登校女子。
*あの日をまだ思い出す*

* Story 6 *






その言葉はとても冷たく、重く感じた。




「復讐…」



「俺の愛する人は、1人の男に奪われた。



……心も体も、全部な―…」






「そんな…」




嘘だと言いたくなって彼をもう1度見つめた。



「…智さん」


何かを耐えるように、唇を噛み締めていた。

相当苦しい事が分かる。





「それは今では、もう遅いの…?」



「遅い。2人はもう、この学校にはいないから…」




いない、と聞いて言葉を失った。





「っていうかさ! こういう話はまた、今度ゆっくりでいい?


杏ちゃんがどうして直樹と同居してんのかも俺聞きたいしな」





智さんが笑って、あたしに言う。





「うん……、今度あたしも聞いてもらおうかな…」



< 72 / 304 >

この作品をシェア

pagetop