嫌われ者に恋をしました*エピソードplus
第1章

(1)ドイツでの生活


 隼人さんと一緒にドイツに住み始めてから、2か月が過ぎた。松田雪菜、という名前にも少しは慣れてきたかな……。

 ここはドイツの港湾都市ハンブルク。アルスター湖という人口の湖や運河が流れる水と緑の街。素敵な歴史ある街。

 石畳の道路もレンガ造りの壁もとても趣があって本当に素敵。車道の舗装も石畳なんて、最初に見た時は驚いた。

 当たり前だけど交通標識も全部ドイツ語で、街並みも日本とは全然違っていて、本当に外国に来てしまった、と改めて実感する。

 この環境にも少しずつ慣れてきて、最近になってやっとアルスター湖畔の公園まで散歩に行けるようになった。

 とはいっても、そんなところまで一人で行けるようになったのはごく最近の話。最初の頃は怖くてほとんど外に出られなかった。

 臆病な私には、やっぱり言葉の壁は高い。

 日本にいる間、隼人さんと一緒にドイツ語を習いに行ったけれど、隼人さんはあっという間にマスターしてしまって、すっかり置いてけぼりにされた。さすが隼人さん……。

 隼人さんは、聞けば丁寧に教えてくれるけど、すごく忙しいから申し訳なくて、私も自力でなんとか頑張った。

 隼人さんは「雪菜の発音はすごくきれいだから、全然大丈夫だよ」って言ってくれたけど、なかなか自信が持てなくて、こっちに来てから最初の1か月は、近くの日本食スーパーと自宅の往復しかできなかった。
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