オウリアンダ

女の自宅

 真下に来て見上げると本当にデカいマンションだ。マンションの床は大理石で出来ている。高級過ぎだ。
 女がオートロックを解除し、大理石の上をカツカツ歩きエレベーターに乗る。歩くのが遅い俺をエレベーターの中から女が手招きして呼ぶ。
 のそのそとゆっくり歩き、俺はやっとエレベーターに乗った。女はドアが閉まらないように押さえていた手をどけた。
 ふと見るとエレベーターの最上階のランプが光っている。この女最上階に住んでるのかよ…。金持ち過ぎるだろ。ますます怪しい。
「さ!つきましたよ!」
 俺は一瞬ビクッとした。いろいろ考えが巡っていた俺は、女に言われ最上階についた事に気付いた。
 自宅の鍵をガチャガチャ開け、女が家に招き入れてくれた。俺も素直に部屋に入る。
 玄関に靴はあまりない。一人暮らしだろうか。
 廊下を歩くと正面がリビングだった。
「そこに座っててください。ありあわせですけど、ご飯作りますから。」
 見るからに高級そうなフカフカのソファを女が指差す。
「いや、ちょっとそれはさすがに悪いよ!」
ぐぅ~…
 タイミングよく腹が鳴る。
「こう見えて料理は出来る方だと思いますよ。」
と言いニコッと笑うと、女はドレスのままエプロンを付けて台所に行ってしまった。
 悪いよと言いながらも、俺は食べ物の事で頭がいっぱいになっていた。
 どうやらただのお人好しのようだし、警戒する必要もないと判断した俺はソファにズドンと座る。いくらマシになったと言っても、無理して歩いていた俺はクタクタだった。
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