空と君との間には

2話 エロおやじの交わし方

結城が車を運転しながら、紗世に訊ねる。


「マニュアルでわからなかったことはあるか?」

紗世は口に人差し指を当て、マニュアルの文章を思い出す。


「ん……とぉ、エロおやじさんは字が汚いって書いてありましたよね」


「ああ、パソコン使えない人だからな。手書き原稿だ」


「読めないくらい酷い汚文字なんですか?」


「ハイテンションになると、更に汚文字になる……ちゃんと読んだのか」

結城の声が冷たくなる。


「読みましたよ~」


「読んだだけで、頭に入ってないだろう?」


「1回読んだだけで覚えられませんよ……」


「たったあれっぽっち、頭に入れられないのか!」


「あれっぽっちって、B5のルーズリーフにイラスト抜きで、3ページはありましたよ~」


「……信じられない読解力と記憶力だ。脳ミソの皺、バーコード程度しかないんじゃないか?」
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