届屋ぎんかの怪異譚



――――――――――


「ねぇ銀花、すこしは休みなよ」



心配そうな顔をして覗き込んでくる風伯に、銀花は「大丈夫よ」と、笑みを返した。



目の前には、布団に横たわる青年の姿がある。


銀花の看病の甲斐あって、今はかなり落ち着いて眠っている。


「でも銀花もすこしは寝ないと駄目だ。看病なら僕が代わるから」



「駄目よ。風伯は元気になったばかりなんだから、無理をしちゃいけないわ」



風伯は妖というよりも神霊に近いものだ。

自然の力を己の力とすることができる。


糺と共に青年と風伯を連れ帰った後、銀花の作った妖用の薬を飲んで、風伯はすぐに元気になったのだ。


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