ハナミツ

*1st-2 男の秘密









「帰れっ!」


休憩から店に戻ったら、水野店長が仁王立ちで誰かに怒鳴っていた。



「店長?」


「こんにちはー。」

「挨拶すなっ!」

店長がはぁとため息をついた。


「こんにちは。はじめまして、」

店長の正面には店長と同じくらいの身長の男の人がいた。

「はじめまして。…えーと、そこの事務所の七瀬と言います。百合とは…」

「百合言うな!」

七瀬さんという人は目尻を少し下げ、苦笑した。


「酷いなあ。せっかく花の注文に来たのに。」

「ネットを使え。あんたは馬鹿なの。
声優の癖に、誰かに知られたらどーすんのよ。
この時分誰がネットで情報を垂れ流してるかわかんないのに。」

声優?



「声優さんなんですか。七瀬さん?」



「はじめまして。声優の七瀬博です。百合とは腐れ縁かな」

「腐りきってるわよ。あーヤダヤダヤダ。」

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