キミじゃなきゃダメなんだ
┗お友達から始めませんか
「し、汐見先輩って、いますか」
『二年三組』という里菜からの情報をもとに、緊張しながら三組を訪れた。
話を聞いてくれた男子の先輩は、「ああうん、いるよー」と爽やかに答えてくれた。
「おい、ヒサー。お客さん」
ヒサって、呼ばれてるんだ。
教室の端の方にいた汐見先輩は、ドアの近くにいる私を見て、眉を寄せた。
そして、なにも言わずにこっちへ来る。
...おこ、ってるのかな。
やっぱり今朝のは、失礼すぎた?
不安になりながら、先輩を見つめる。
今朝見たばかりのその綺麗な顔で、先輩は私の前に立った。
「...ここじゃ話しにくいから、場所変えていい?」
「えっ、あ、もちろん!」
そりゃそうだ。
私みたいな女子力底辺野郎に先輩がフラれたなんて周りに知れたら、大変なことになる。
そんなことにも気づかないなんて、私はやっぱりダメな奴だ。