ひねくれ作家様の偏愛




私の目の前にはソファで眠りこむ海東くんがいた。
24歳になったばかりの海東くんは、疲労からか私とそう変わらない歳に見えた。

約束の木曜だ。
海東くんの原稿のタイムリミット。
私は海東くんが眠るソファの横、床に座り彼を見つめていた。

寝息が乱れたかと思うと、次の瞬間に海東くんがゆるゆると目を覚ます。


「……すいませんね。ちょっと休憩のつもりだったんですが……あ、原稿そこです」


「うん、そうかと思って、海東くんが寝ている間に読ませてもらったよ」


私は原稿を手に、身体を起こした海東くんの向かいに座った。
彼は反応を待っている。
海東くんの瞳を見つめ、私は頷く。


「いい、と思う。正直、口を出したいところもあるけど、今回はこれで会議に回してもいい」

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