麗雪神話~炎の美青年~

乾いた風が二人をなぶる。

「ここが、アル=ラガハテス部族王国……」

外套を脱いでもまだ暑いその気候に、セレイアはぱたぱたと掌で自分をあおいだ。こうも暑いと、半そでになってもよさそうだ。暦の上ではこの国も春のはじめのまだ寒い季節であるはずだが、年中冬のような気候のトリステアで育ったセレイアにとっては、未経験の暑さだった。

雪の神であるディセルも、この暑さには辟易しているようだ。

少し口数が少ない。

国境砦を越えてプミラで数時間。

二人はアル=ラガハテス北寄りのひとつめの町、火の部族アル=ハル族の集落に来ていた。

アル=ラガハテスは四つの異なる部族が寄り集まった国である。それぞれの部族の力が拮抗しているため、それぞれに元首を戴いていてもうまくおさまっているようだ。

火、水、風、地。

それぞれが彼らの信じる四神の名をとっており、火の部族はその中のひとつというわけだ。
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