空と君との間には

3話 うつむかないで

「結城さん!?」


「……麻生」


「おはようございます。あの……顔色悪いですよ」

結城はエレベーター横の壁に、しなだれかかるように寄りかかっている。


「大丈夫だ……熱はない」


「いや、そうじゃなくて」


「大丈夫だから……黙ってろ」

億劫そうに紗世を見下ろす瞳には、覇気がない。


――めちゃくちゃ具合悪そう

紗世は結城の顔を覗きこみ、マジマシと見つめる。


エレベーターを待つ列を、力ない瞳で見つめている結城。


「暫くかかるな」

ボソッと呟く。


「結城さん」


「……先に行け。俺は満員のエレベーターには乗らない」


「放っておけませんよ、真っ青ですよ顔色」


結城のこめかみには、うっすらと汗が滲んでいる。


「気にするな……少し寝不足なだけだ」


結城は言いながらも胸に手を当て、呼吸を整える。
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