……っぽい。
同居のルールを決めましょう
*
深夜のパンツ問題が無事に解決になったあとはもう、食べてとにかく寝るだけだった。
笠松のご飯は、自画自賛していただけあって美味しく、とても優しい味が胃も心も満たしてくれ、食べている途中から現実と夢の境目が分からなくなるほど夢見心地で口を動かした。
それから時間はブランチの時刻まで飛ぶ。
目覚めて速攻、昨夜のことを思い出した私は、すぐに飛び起きスマホを取ると、数少ない友人たちに片っ端から電話をかけたのだった。
しかし今、私は部屋の隅で体育座りをし、うじうじと指で床に呪いの魔法陣を書いている。
「先輩。そろそろ諦めて、同居のルールを決めましょうよ。友達のほうにもいろいろ事情があるって言ってたの、先輩じゃないですか」
「そうだけど……。でもっ……!」
「先輩を拾ってあげたのは俺ですよ? 言うなれば大家です。黙って俺の言うこと聞いて」
「……くっ」
笠松にたしなめられ、仕方なく私は、電話をかけている間にパパッと作ってくれたらしいフレンチトーストとサラダ、それと淹れたてのコーヒーが置かれたテーブルの前に移動した。
“飼い主”と言われなかっただけ、まだマシだろうか、とにかく私にはもう、笠松にお世話になるしか生き残る術が残されていないらしい。