ずっと隣で・・・

2人だけの時間

2人の様子を黙って聞いていた美鈴は少々呆れ顔で千鶴をみると
弦の方の見た。
「水野さん」
「はい」弦は姿勢を正す。
「この子、ちょっと抜けてるし、凄く遠慮するし、すぐ泣く子だけど」
美鈴の言葉に頷き、わかってますと言う弦に、千鶴はふくれっ面で睨む。
「一途でやさしくって・・・頑張り屋さんで・・・とにかくいいやつなんです」
弦は黙って頷いた。
「だから・・・幸せになってほしいんです。きっと水野さんの事だから
 これからの事考えてくれてると思いますが、2人はその・・・一度は別れた間柄
 だから・・・もう二度とそんなことのない様にしてほしいんです。
 千鶴の事よろしくお願いします。」
美鈴が深々と頭を下げるのを見て、私は慌てて美鈴の名を呼んだ。
だがそれを制したのは弦だった。
「美鈴さん頭を上げてください」
「絶対に千鶴を悲しませることはしません。
 ただ…少し準備があってすぐにってわけにはいかないのが申し訳ないんだけど
 困った事があればすぐに駆けつける様にします。
 だから安心してください。」
すると美鈴が笑顔で
「だってさ・・・よかったじゃん。だからさっきみたいに冗談?とか言うんじゃないよ」
「・・・はい」
「さて・・・これからどうする?鍵は無事戻って来た事だし・・・」
美鈴の問いかけに弦が
「今日は千鶴の部屋に俺が行くよ。お前…どうする?今日まで
美鈴さんとこお世話になっとく?」
英斗がいた部屋に行かせるのは精神的に嫌かと思ったのだろが
私的にはなかなか会えない弦に会えない方のが嫌。
英斗がいた部屋だけど弦と一緒になら
弦と一緒がいいと思うのが女心!
でも、この思いを何となく口に出せないでいると
やはり美鈴が見かねて
「水野さん!千鶴は早く2人きりになりたくって仕方ないんだから
この子は持って帰ってください。・・・じゃあ、私帰ります」
そういうとワンコインをテーブルに置いて席を立った。
「美鈴!」
「足りない分はよろしくね~~」
そう言って手をヒラヒラさせて店を出ていった。
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