俺様社長と秘密の契約

歪んだ愛情

…大学に入り、勉強以外、楽しい事なんてなかった俺の目の前に、理子が現れた。

友人と呼べる者たちも、上辺だけの付き合いで、一緒にいて楽しいなんて思った事はなかった。

持て余した時間の潰しに利用していただけ。

「なぁ、今日は何する?」
暇そうにベンチに腰かけた友人が俺に言う。

「…別に何でも」
そっけない返事をする。

「お前って、いっつもその言葉しか返さねえよな」
面白くなさそうに友人は言った。

・・・・?!
俺は思わず立ち上がった。

「…どうした龍介?・・・何事にも無関心のお前が、取り乱して」
「…あの子」

「・・・あ?」
「…あの、色白で、ストレートで長い髪の女の子」

「…そんなの一杯いて、わかんねえよ」
「ほら、あのうすピンクのニットワンピ着てる」

・・・・。

「・・・あ~、経済学部の清水理子?」
「知ってんのか?」

俺は思わず、友人の胸ぐらを掴んだ。

「苦しいって・・・」
「・・・ぁ、悪い」

ハッとして、その手を離した。

「知ってるも何も、有名だぞ、クールビューティーの姫って呼ばれてるし」
「なんだよ、それ」
友人の言葉に、怪訝な顔をする。

「モテるくせに、寄ってくる男全部切り捨てる、笑顔一つ見せない女。
女友達もいないのか、いつも独りなんだよ。ま~、あんだけいつも無表情だと、誰も付き合いたいと思わねえわな」
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