アナザー・シンデレラ

動き出した歯車

ゆっくりとシンデレラが階段を降りて行くと、そこにいたのは見たこともない女性と、年の近そうな二人の少女でした。


継母はシンデレラを見て息を詰まらせました。


それもそのはずです。



継母にとって、シンデレラは今までに見たことがないほど美しかったのですから。


二人の義姉も同じでした。



「紹介するよ、“これ”が私の娘のシンデレラだ」


「初め、まして」


シンデレラが軽く一礼すると、何かを察した継母はニヤリと笑いました。



「初めまして、今日から貴方の母親になるレイチェルよ。これからよろしく。それから――」


「私が姉のドリゼラよ、でこっちがアナスタシア。よろしくね!」


「貴方の髪凄く綺麗!!何か特別なお手入れでもしているの?」


継母に割り込むような形で話しかけてきた義姉に戸惑いつつも、シンデレラは微笑みました。



「よろしくお願いします、ドリゼラお姉様、アナスタシアお姉様。髪は特別な手入れはしていませんの」



シンデレラがそう言うと、父親が一つ咳払いをしました。



「……シンデレラ、夕食の支度は出来たのか」


「あっ、ま、まだ……です……」


「急いで作ってきなさい」


「分かりましたお父様……」



シンデレラが厨房へ走って行った後、継母が口を開きました。


「あの子はいつも夕食を作っているの?」


「ああ。夕食だけじゃなく、掃除、洗濯……家事全てを任しているよ」


「あら凄い。ドリゼラとアナスタシアも見習わなければね?」


そこまで言って、継母は妖しく笑いました。




「とっても偉いシンデレラを――――――」
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