年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~

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ぽたり、と彼の額からひとしずく、汗の粒が落ちた。

息遣いは荒いまま、汗だくの体を重ね合わせる。同時に頂点に登り詰めると、彼の体がどさりと私の上に落ちてきた。
もう馴染んだ、彼の重み。肌も手も何もかも、まるで元は一つだったみたいに私にぴったりと合わさって、これ以上ないほどの安らぎを与えてくれる。

彼の腕の中で息を整えていると、一足先に落ち着いた彼が、ごそごそと枕元のリモコンに手を伸ばした。私を抱えたままピピっと何か操作した途端に、おとなしく運転していたエアコンがいきなり慌ただしく回転速度を上げ始める。
満足そうにまた私を抱え直してタオルケットに包まる彼の腕をかいくぐって、今度は私がリモコンに手を伸ばした。どんなに暑くても設定温度は二十六度までと決めているのに、表示されている温度は二十三度。……二十三度って、冷蔵庫か! と心の中でツッコミを入れる。

無言で温度を上げると、真横から不満気な声が響いた。

「あっついんですよ、ちょっとだけ……」
「ヤだ。すぐに冷えちゃうもん」
「ほんとちょっとだけ。落ち着いたらすぐ上げるから」

私の手からリモコンを取り上げて、また温度を下げる。私はそれを奪い取って、温度を上げる。その度に年季の入ったエアコンが、ゴー、シーン、ゴーッ、とめまぐるしく動きを変えて、壊れちゃうんじゃないだろうかと心配になった。

「三十路の冷え性はナメちゃダメなんだからね。二十三度って絶対おかしい」

「くっついてたら冷えないですって。コタツでアイスと同じ理論ですよ、真夏に涼しい部屋でくっついてるのって最高に気持ちいいじゃないですか」

「じゃあくっつかない。温度上げるから離れて」

そう冷たく言い放って温度を戻してからリモコンを放り投げると、彼はしゅんとした様子で渋々リモコン争奪戦を放棄した。
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