お見合いの達人

3.危険な婚活パーティ

プっくりと腫れあがった瞼が、

妙に浮き上がって、

かわいそうなほど、痛々しい。

「化粧のらないし。顔はぶーだし。」


鏡を覗き込んでため息をついた。

「泣くくらいなら、あそこで拒否らなきゃよかったのかな……」


だけど、

ダメダメ、

愛着を愛情だとして勘違いしたままずるずるとしてしまったら、

結局当初の目的の結婚から遠のいてしまうのだから。


「でも、あいつと結婚ってことだって……」


無理無理、

首がつながったとはいえ、

決して借金がなくなったわけじゃない。

牧場に未来があるかなんて誰が証明してくれるの?

大体、お見合い相手は兄の方だったんじゃない、

何を引きずっているのよ。



「店長?どうかしたんですか?

さっきからぶつぶつと?」


休憩室の小さな鏡にぶつぶつと呟いている私は他人から見たらおかしな人間だよね。

「あ、ううん、なんでもない。

 昨日DVD見て泣きすぎちゃって、

 見てこの目。

 ひどいでしょ?」

「え?そうですか?

 別に言われるまで気がつかなかったですよ?」


気にしてな見てないからだろうが、

ちっと舌打ちたくなるよ。ったく。









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